かな~り遅くなりましたがニュルレポート⑥です。

皆様、いかがお過ごしでしょうか?

世界はCovid19の話題でいっぱいですが、春が訪れ雪が解け

冬眠から覚めてくるスポーツカー達のためにも元気に営業しているNPC札幌の辻です。

 

お題にもなっているニュル24hですが、今年は9月開催に延期が決まりました。

今のところは中止ではなく延期とのことなので、ほっと胸をなでおろしています。

さて、前回はグリッドウォークで終わりましたが、いよいよレースがスタートします。

(レポート    

さすがにレース中は写真を撮る暇があまりないので、文字中心のブログになります。

 

スタートドライバーはニュルマスターのコロネル選手!

大混雑になるスタート後の

1コーナーをはじめ 難しいオープニングラップをまとめ上げ

接触もなく順位キープのまま2ラップ目に入ります。

近藤監督が「順位キープで帰ってきてくれたら

パーフェクト」とおっしゃっていたそうですが、

さすがプロ!キッチリ仕事をこなします。

我々ピットサイドは 不測の事態に備え緊張しながらモニターを見ていましたが 無事に

オープニングラップをこなしてくれた事により 一息つきます。

1スティント目のコロネル選手は 少し燃費が悪く

予定より1ラップ早くピットに入ります。

いよいよピットイン。我々NPCチームは練習もなくぶっつけ本番です!!!

無線のやり取りからピットインのタイミングはわかるので、ドライバーからの

「ドッティンガードッティンガー」との無線で臨戦態勢に入ります。

(ドッティンガーとはコース最終のストレートの名称です。)

無線での「タイヤお願いします」との合図で 全力でウォーマーからタイヤを出し

カートに乗せ人の波をかき分けピットへと運び入れます。

ピット入り口ではTDのあだちさんが手引きをしてくれ

スムーズにピットに入れるようにしてくれます。

そしてピットメカの方々にタイヤを引継ぎ 交換済みのタイヤを回収します。

ヨコハマタイヤの方や近藤監督らがタイヤをチェックした後に

タイヤテントに持ち帰り

ホイールの清掃・点検と組み換えのための準備をします。

タイヤを回収するとき、あだちさんが

サムズアップのサインを下さり ほっとしました。

 

タイヤ交換の回数に対して、

ホイールのセット数が少なく、ウェットや

気温などの状況に応じてソフト・ミディアム・ハードを

使い分けるので組み換えは毎回必須となります。

 

レースは進み ピットを共有する一台がトラブルのためタイヤテント側のピット入り口

付近を占拠してしまい、カートによるタイヤ搬入が不可能になってしまいました。

そのため その時はタイヤを担いでピットに搬入するという一幕がありました。

この時の様子はWOWWOWでも放送されていました。

 

レースは夜を迎え 藤井選手のドライブ時ですが タイヤプレッシャーが上がらない

という現象が発生していました。

レース用タイヤは低いプレッシャーで使うとバーストの

危険があるため すぐにエンジニアからプレッシャー変更の指示がタイヤメカに飛びます。

そして藤井選手の1回目のタイヤ交換のあと、ヨコハマタイヤでタイヤを検査したところ

問題なしとの判断で すぐに藤井選手にタイヤOKと伝えられました。

 

レース中に起こったトラブルに対し修正を加えながらレースは続いていきます。

 

夜間に起こったトラブルとしては 高星選手のドライブ中に左フォグランプ切れが

起こりましたが 修復にかかる時間を嫌い 切れたままレースを続行しています。

そして明け方が近くなったころにブレーキの交換がやってきます。

24時間走りきるために、フロントのみローターとパッドを交換します。

この作業をピットメカの方はロスタイムなくこなし通常の

ピットタイムと変わらない時間でコースに送り出します。

 

レース中 1000度になろうかというブレーキを 革手袋装着という作業性最悪な

状態で完璧にこなすピットメカさんに脱帽です。

前日にタイムを計りながら練習され

ていた成果が見事に発揮されました!!

 

その後 無事夜明けを迎え順調にレースを進めて トップテンが見えてきたころに

クラッチトラブルが・・・夜が明けるくらいまではピットアウト時の発進時

キャーーーーーーーーーという感じのホイールスピンだったのですが、

段々とキャッキャッキャッとスムーズでなくなり ストールしそうに。

そこでピットイン時にクラッチラインのエア抜きを行い見事に復活!

元気にキャーーーーーーーーーーっとピットアウトしていきました。

そして最終のタイヤ交換と給油を終え ゴールに向かって

ピットアウトしていく藤井選手とGT-R NISMO GT3。

私はこの時消火器を担当していたのですが 「これで最後まで頼む!」

と祈りながらピットアウトを見送りました。

 

もう残り1時間くらいなので バックヤードでは片付けが進行中です。

タイヤテントのタイミングモニターも外されてしまったので

ピットに行ってゴールを待ちます。

 

この時総合9位を走行していたのですが 後ろからSP-Xクラスの

マシンが1ラップあたり3秒くらい早いペースで追い上げてきており

終盤のバトルが必至になった状況で 近藤監督は藤井選手に

「バトルは不要。押さえないでいかせて」という内容の指示を。

最初の方針通り完走最優先を貫きます。

私は「9位と10位じゃ全然違うじゃーん」と一瞬思いましたが

近藤監督の凄さを感じた瞬間でもありました。

 

そしてゴール間近になったとき、残り時間とトップの車の位置の関係で

このラップでゴールなのか それとももう1ラップいかなければならないのか

という状況になった時も 冷静に藤井選手に指示を出されていました。

 

そして感動のゴール!!

我々NPCチームもフェンス脇でフィニッシュラインを通過するマシンを迎えます!

ゴール後はスタッフ同士で握手をし健闘を讃えあいました!

あ、NISMOの片桐社長にも握手していただきました。

10位完走という(この時点のリザルトでは)素晴らしい成績と

24時間不眠不休でやり抜いた達成感で幸せなひと時でした。

(のちに2位のポルシェがBOP違反で失格となり総合9位に繰り上げ)

 

余韻に浸っている暇もなくすぐに撤収準備にかかります。

皆さん恐ろしいスピードで片づけていき あっという間に

片付いていきます。

そしてお別れの時が近づいてきます。

自力で移動できない我々NPCチームは移動手段の制約もあり

チームの皆様より先に帰途につかなければなりません。

お世話になったチームの皆様にご挨拶をし 後ろ髪を引かれる思いで

サーキットを後にします。

 

次で最終話です。