『Nürburgring(ニュルブルクリンク)24時間耐久レース』チャレンジ! ~本番後編~

段々と秋の気配がしてきていると感じている今日この頃。

暫く更新ができておらず、失礼致しました!

こんにちは。

プリンス兵庫NPC明石店の三宅です。

前回の ~本番前編~ の続きをお伝えしていきます。

次の日のお昼過ぎのフリー走行までの準備を着々と進めていきます。

午前中は、予定で使うタイヤをホイールに取り付ける前に、ホイールに空気圧センサーを取り付けていく作業を行います。

これにより、タイヤ内圧をドライバーやエンジニアたちが、走行中もリアルタイムに把握でき、

車両の状態をモニターできるので、車の状況が数字で一目瞭然です。安心して走行できる状態にします。

午後からは天候が怪しくなっていき、予報では予選1回目頃に大雨が降るとのことでした。

そして、不安の残る中、午後からフリー走行が始まります。

天気次第では、1周を走っている間にスコール級の大雨が降る場合もあります。

非常に不安定なコンディションなサーキット・・・それがニュルです!

レインタイヤとスリックタイヤを気温や雨の影響を考えて、何パターンか準備していきます。

フリー走行は他のチームでは、早くもクラッシュや車両トラブルにより、リタイヤや急いでピットインする車両も。

結構な頻度でペースカーが出動。なかなか思うように走れない場面も出てくる中で、#45のKONDO Racingの車両は無事にフリー走行終了

走行後もタイヤやマシンの状態を点検、確認し、次の予選1回目のアタックに役立てます。

次の予選まで時間があったので、近くを散策していました。メインとなる通りはまだ決勝の前々日とのこともあり、各ブースもほとんど準備段階です。 世界最高峰のレースだけあり多くのメディアも注目していました。

出展ブースもかなり規模がでかい!

そうこうしていると、予選の直前にスコール級の雨が!予報通りです!

しばらく雨の状況が続く様子である為、予選初めはレインタイヤで走ることになります。

使うタイヤは、使う順番にタイヤウォーマと呼ばれる

畑でよく目にするビニールハウスの様な温室で、タイヤを温めてすぐにタイヤのグリップが出せるように予め用意します。

この写真の赤色のヒータでストーブのように燃料を燃やして熱風をタイヤウォーマー内に送り、タイヤを温めます。レース中はずっと燃やしているので、その周りは40℃近くの灼熱状態になり、普段より高めなニュルの気温と相まって地獄の暑さの中、タイヤを定期的に管理します・・・(汗)

予選も始まり、ピット内があわただしくなります!

今回の仕事でタイヤの管理以外にファイヤーマン(消火器マン)もします。ピット中はレースの規定によって、ピット作業が終わるまでの3分間のあいだには給油し続けていないといけません。

その為、給油中は、1000℃近くになるブレーキのそばでガソリンを給油しています。お分かりですよね・・・( ゚Д゚)

 

いつ燃えてもおかしくない・・! ということです!

 

その為、給油をしているフューエルマンの直ぐそばで消火器片手に、給油中のガンに向けていつでも消火できるように構える必要があります。

また、ピット内に出るクルーは安全のため全員耐火スーツとヘルメット、耐火マスクは着用しなければなりません。ピット内では、車が勢いよく行き交う中の作業や給油中の火災の恐れなど多くの危険と隣り合わせになります。

 

予選の途中で雨もすっかり上がり、いいコンディションで次の2回目の予選とその後のトップ30位までのチームの最終予選を迎えていきます。

2次予選、トップ30位までの最終予選も大きなトラブルなく、無事に終了し、25位で予選を終えました。上位に入るとウエイトハンディが課せられる為、本選で不利にならないよう作戦上の順位だったそうです。これによりハンデなし。これもレースを優位に運ぶ作戦です! 奥が深いです!

こちらの写真は、グリッドウォークと呼ばれる決勝レース前にレーシンングドライバーやチーム、マシンをより近くで見れるイベントの様子です! 毎年20万人近くが押し寄せます!初めて見る光景に圧巻されていました・・

他にも貴重な光景が多数ございましたが・・・都合上、自粛致します(汗)(;´・ω・)

明日はいよいよ本選です!

トラブルなく無事に完走できるよう、チームに少しでも貢献できるよう頑張っていきます!!

 

決勝当日も素晴らしい快晴に恵まれ、完全ドライ状態で挑むことができました。

このままいい天気が続く事を願います。

気温もこの滞在の中でかなり高い気温でした。

普段のこの季節のドイツでは珍しい、午前中なのに30℃越えです!

ピークでは35℃になる予報でした。

我々の体力も持つのか?・・・いや、持たせます!

午前10時にも関わらず、

タイヤウォーマーの外では凄い人通りです!

世界からのレースの注目度がよくわかります。

 

遂に、スターティンググリッド(スタート位置に整列)に全160チームが終結します!!

準備したタイヤもウォーマーの中で出来上がっております!

今か今かと出番を待ちます!!

そして・・・・

 

24時間の戦いが始まりました!!

約160台のごう音が響きます!

 

今回のKONDO Racingチームの走行の段取りは、4人のドライバーがサーキットを一人約8週し、1時間10~20分程かけて走行し、ピットに帰ってきます。この時にタイヤ交換、給油、各車両チェックを終え3分以内でピットを出ます。

24時間の中で、1スティント(ドライバーが次のドライバーに交代するまで)を24回します。

タイヤウォーマーとピットの行き来を24セット分、24時間やり続けていきます。

その中でも、外気温と路面温度の様子次第で、エンジニアの方は細かくタイヤの内圧を指示されます。その内圧に確実に調整し、タイヤの内圧の変化を管理していく中で、タイヤのクセを理解し、次はどう調整したらいいかをエンジニアの方と相談し、すり合わせて理想の内圧を見つけていきます・・・深すぎます!

その後、

 

レースの方も順調に順位を上げていき一気に20位以内まで来ました。

この時タイヤウォーマー付近では、

 

 

 

左の写真で午後10時辺りです。

まだ人通りは絶えませんねえー

 

 

いくつかのチームは車両接触や単独事故、マシントラブル等によって次々にリタイヤしていきます。

それもそのはず、場所によっては200km/hオーバーの全開で駆けぬける高速コーナーからのフルブレーキングや、常に跳ねているような路面状況下で道幅8m程の車2台程度がやっと並走できるほどのコース幅。

その中を160台もの走行スピードもバラバラな車両同士が、お互いうまくパスしながら24時間走り続ける・・・安全に走り終える方が奇跡に近いのではないでしょうか?

ですが、それでもライセンスを取得したドライバー方、難なく乗りこなしていくんですよね・・

すごすぎます! ちょっとしたミスや気のゆるみでさえも命とり・・(汗)

   

レースも中盤に差し掛かった所で車両トラブルや事故も多発していく中で、KONDO RacingのGT-Rは大きなトラブルもなく順位もベスト10位圏内に!

また、現地でのKONDO Racingのサポートチームであるmcchip-dkr。使用車両のポルシェケイマンも事故に遭遇してしまい、ピットイン!

ものすごいスピードで作業を行っていました。

普段の作業でリフトを使って行えば、全部で2~3時間は掛かってしまうような作業を30分以内で行っていたと思います。かなり衝撃的でした!
  

↑ 交換した部品(右ステアリングタイロッド)が大きく曲がっているのが分かります。これだけ曲がっていたらまともにまっすぐ走れなかったでしょうねぇ(汗)

 

 

順調に周回を重ねていく中で、日をまたいで夜が明けてきました。

左の写真で朝4時ぐらいです。夜はホント短いです。

 

 

この明るくなってきたときに車両がピットインしたタイミングで、前輪のブレーキをブレーキパッドとディスクブレーキローターをセットで交換です。

24時間も休まず走り続けると、やはりブレーキがもちません。一番トラブルなく安全に視界も良く集中力的にも適したタイミングです。

すべての作業タイミングは理由があります!これもスムーズに整備をこなす作戦のひとつです。

ピット作業と一緒の時間なので3分以内で交換作業も同時にこなします!早すぎる・・・・・・( ゚Д゚)

 

プロドライバーが全開で攻め続けた中で使用されたディスクブレーキロータ!

ピカピカにきれいに削れていました。ある意味芸術品です!

因みに、ブレーキパッドは24時間耐久専用パッドを使用しています。

 

 

 

長い戦いも、残り時間5時間を切りました。

眠気を超えておかしなテンションになるころ、

レースの順位も表彰台が見えてきました。

 

こちらは現地で大量に用意されていたエナジードリンクです。

日本では薬事法に触れてしまうほどの量のカフェインが含まれています。きつすぎる為、カフェイン中毒で倒れてしまうこともあるとか。

確かに覚醒?!しました(笑)

 

あともう少し!

   

 

もう一仕事頑張ります!

   

 

24スティント目、最後のタイヤ交換! 気持ちを込めて行きます!

 

そして、遂にチェッカー!

総合順位9位!

クラス8位!

ニュルブルクリンク24時間耐久レース初参加ながら、大きなトラブルなく無事にチェッカーを受けていました!

 

このプロジェクトに参加でき、KONDO Racingのスタッフとしてこのレースを経験する事ができ、本当にありがとうございました。

メカニックチャレンジの一期生としてチャレンジ出来たことを誇りに思います!

そして、一生の宝物になりました!感謝しています。

NISMOの皆様、KONDO Racingの皆様、このチャレンジを応援して頂いた皆様、そしてこのチャレンジに送り出して頂いた会社や店舗の皆様、

本当にありがとうございました。 これを次につなげていきたいと思います。

 

また、長文ブログにお付き合い頂きありがとうございました!